検査項目は5つ。硝酸イオン・糖度・ビタミンC・抗酸化力の4つと食味。抗酸化力は細胞の老化を防止する力。これは「野菜を食べる理由」ともいえます。私たちは酸素がないと生きてはいけないが、細胞は毎日、酸素で酸化されて、老化しています。ストレスでも細胞の老化は促進されることがわかっていますので、ストレスの多い現在人には欠かせない野菜の栄養成分といえます。
硝酸イオンは、酸化された窒素のことです。地球の生きものにとって、窒素は細胞をつくるために必要不可欠な栄養成分ですが、酸化された窒素である硝酸イオンは、植物は還元することができますが、人間は還元することができないため、人間にとっては細胞をつくる栄養成分とはいえない。また、味として苦味・えぐみとして感じる。
レーザーチャートの見方の説明が必要と思います。硝酸イオンが多くなると、糖度・ビタミンC・抗酸化力が低くなる傾向があるようです。
逆に、硝酸イオンが低くなると、糖度・ビタミンC・抗酸化力が高くなる傾向にあるようです。
大根部門・人参部門・カブ部門・ホウレン草部門・小松菜部門・白菜部門・水菜部門・キャベツ部門・サツマイモ部門・トマト部門・イチゴ部門・玉ねぎ部門・チンゲン菜部門・ブロッコリー部門・ナス部門・ネギ部門・柑橘部門・きゅうり部門・小豆部門の19部門。
大根は16点が参加、うち6点をノミネートします。
香川の宮下さんの紅くるりが抗酸化力99.0、熊本の森田さんの紅くるりが抗酸化力92.4を記録。抗酸化力が強い品種である紅くるりを大根に含めるかどうかは今後の課題とさせていただきます。
昨年2014年に聖護院大根で、抗酸化力48.9を出し特別賞を獲られた兵庫の濱野さん。今年2015年の聖護院大根は抗酸化力46.5と昨年を超えられなかったものの、昨年2014年は硝酸イオンが284.3であったのを、今年2015年の硝酸イオンはゼロでした。大根16点の中で硝酸イオンがセロであったのは濱野さんだけでした。
愛媛勢と兵庫勢の混戦です。
大根部門の最優秀賞は抗酸化力で一番高い値38.4を出した愛媛の丹下さんとします。糖度5.3は、ファーマーズユニオン北条さんの5.4に次いで2位でした。ファーマーズユニオン北条さんの抗酸化力は34.0で2位。かなりの接戦でした。
激戦の人参部門。全国からかなりハイレベルの人参がたくさん集まりました。32点中、6点をノミネートします。
兵庫勢はグループで技術が安定してきています。上位を独占です。
非常に難しい審査となりましたが、硝酸イオンの低さと糖度の高さ、抗酸化力の高さから、最優秀賞は岡山の山崎さんとします。
糖度、抗酸化力が高くなりやすい品種「金時人参」ではありますが、糖度、抗酸化力が共に2桁を記録した香川の宮下さんを優秀賞とします。
カブは8点中、5点をノミネートします。
赤カブは抗酸化力が高くなる傾向がありますが、市販の赤カブと参加者の抗酸化力を比べたところ、2倍以上多いという結果となりました。作り方によってはさらなる可能性を引き出すことができるようです。
さらに西洋種とのかけわせによって、耐病性を向上させたが、味は落ちたといわれる現在の品種。これも作り方によっては味と栄養価を向上させることができるようです。
東京デリカフーズさんはしっかり食べて、その味を5段階評価しています。その食味評価において、カブ部門の5であったのは阿部さんの出品2品だけでした。第一回栄養価コンテストでグランプリを獲った徳島の上勝の阿部さん。今回も安定した技術力を示してくれました。糖度1位、抗酸化力1位、ビタミンCも1位の堂々の最優秀賞です。
赤カブの抗酸化力を市販のものの2倍以上に引き上げることができた兵庫の岩元さんを優秀賞にします。
毎年、激戦のホウレン草部門。6点をノミネートします。
今年は、ありえないことが起きました。測定値が間違っているのではないかと、事務局は2回も、東京デリカフーズに問い合わせて確認しました。熊本で何が起こっているのでしょうか?
圧倒的大差をつけて熊本の八反田さんが最優秀賞になりました。糖度、通常の2倍以上。今まで、寒締めをしても、糖度はせいぜい12台がホウレン草の最高でした。それを17.5とはどういうことでしょう?何かイノベーションが起こっている模様です。
徳島勢が検討しています。
このレーザーチャートの形はおいしさを表現しているみごとな形です。岡山県の新庄村に新設さました有機農業技術を教える学校。そこの新人講師鈴木さんが、みごとな最優秀賞です。若い人が技術を見せてくれると、日本の農業の未来は明るいと感じることができます。
白菜部門は9点参加中、4点をノミネートします。
兵庫勢はグループとして技術が安定してきているようです。
これはもうこの形しかありません。兵庫の濱野さんが最優秀賞です。きっちり硝酸イオンをゼロにしてきています。この技術が栄養価の高い野菜づくりのポイントと思われます。
キャベツ部門は3点参加、3点ともノミネートします。
やはり、硝酸イオンを低く抑えることで、抗酸化力、糖度、ビタミンCの3つの値が大きくなるということがいえるでしょう。
キャベツの最優秀賞は徳島の三木さん。三木さんは「大規模農場経営がやりたい」と、異業種から、農業分野に新規参入された新人です。このキャベツはドレッシングをつけなくても甘くておいしいことでしょう。今後に期待が持てる農家さんです。
水菜は栄養価を高めるのが非常に難しい野菜です。8点参加中、3点をノミネートします。
硝酸イオンをいかに低く抑えることができるかが、技術の核心といえるでしょう。レザーチャートではわかりにくいですが、茨城のお二人の農家さんは、東京デリカフーズの抗酸化力の平均値が48.4のところを、橋本さんは85.2、瀧原さんは83.2と大きく超えています。硝酸イオンは共に4000台なので、やはり硝酸イオンを減らすことができたら、抗酸化力も糖度も、もっと上げることができると思われます。
赤水菜は元来、抗酸化力が強い品種といわれています。この平均値は普通の緑の水菜ではなく、市販の赤水菜のものです。この表だけ見ると、徳島の濱田さんの赤水菜は市販の5倍の抗酸化力があることになります。実際に食べて見ましたが、甘みがあり、水菜の常識を打ち破る存在感がありました。もう「肉の添え物」ということはできないでしょう。水菜は主役もできる野菜に進化するかもしれません。
5点参加のうち、2点をノミネートします。
愛媛勢の一騎打ちとなりました。
最優秀賞は愛媛の丹下さん。なかなかの好成績です。
トマト部門は5点が参加、うち2点をノミネートします。
岐阜のトマトの達人と徳島のトマトの達人の一騎うちです。中家さんの麗夏は糖度8.1、対する井口さんの桃太郎ピースの糖度は10.1。抗酸化力、ビタミンCは両者とも、ほぼ拮抗しています。
これは徳島の井口さんを最優秀賞とします。糖度2ケタはお見事です。岐阜の中家さんは、最近、少々やりすぎてしまっているという情報が入ってきています。少し手を抜いたほうが、より栄養価が高く、おいしいトマトがつくれると思いますとJOFAの小祝代表がコメントしておりました。
高い抗酸化力が期待できる作物、イチゴ。
これはなかなか難しい審査となりました。
糖度の高さと硝酸イオンの低さをとり、茨城の菅谷さんを最優秀賞とします。
熊本の西山さんの玉ねぎ、抗酸化力が通常の3倍、ビタミンCが2倍と平均値を大きく上回った好成績でした。
チンゲン菜は栄養価を高めるのが難しい野菜です。
茨城の金井さんを最優秀賞とします。
ブロッコリー部門は5点の参加、次の2点をノミネートします。
花芽を食べるブロッコリーはビタミンA、B5、B6、葉酸、C、Kと多様なビタミン類が含まれています。また、抗酸化成分のあるスルフォラファンやカロテン類のβカロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、クェルセチンなどが含まれているため、抗酸化力の野菜として注目されています。
この抗酸化力はすごいです。
硝酸イオン値を低く抑えることができた兵庫の小谷さんを最優秀賞とします。
ネギは2点の参加、2点ともノミネートします。
徳島のベテラン農家さんの坂野さん。大阪の枚方の穂谷自然農園の大島さん。大島さんは昨年2014年の人参部門で特別賞を受賞されています。両者とも、きっちり硝酸イオンを下げてきています。
最優秀賞は大阪の大島さんとします。糖度12.2はみごとです。
柑橘は8点の参加、うち3点をノミネートします。
柑橘部門はミカン処の和歌山県と愛媛県の方のつくられたものが上位となりました。
愛媛県の大谷さんを最優秀賞とします。糖度15.3はお見事です。
キュウリは栄養価が低い野菜として、ギネスにも登録された野菜。栄養価の高いキュウリというのは珍しい。熟して黄色くなったものなら栄養価も上がると考えられるが、兵庫の宮垣さんのキュウリは、黄色く熟れているわけでもなく、この栄養価は驚きです。
一点だけの参加のものから、特に優秀な成績のものを紹介します。
徳島の川又さんの「昔ながらの大納言」という小豆。抗酸化力が413というのは驚きです。